地方自治体法によると「議長の任期は議員の任期(4年)による」と記載があります。
しかし、船橋市において実態は「議長は、1年務めた後、自己都合で辞職する」という謎の風習があり従う人が絶対的多数。もし議長を1年で辞めないと、色々な嫌がらせにあうという。
この風習ができた背景や問題点、改善案などについて、船橋市議員:石川議員のりょうcafeでの解説をきっかけに、ネットで調べたことをまとめました。
まずは議長うんぬんの話をする前に、議会と議案の話から。
Contents
議会とは?
議会(ぎかい)
一般的には審議・議決を経て法律を制定する(立法)集会・会議。 その場所あるいは組織を指す。 立法府とも呼ばれる。
議会 – Wikipedia
この記事では、「船橋市の議会の議長制度」がテーマなので、市議会ついて書いています。市議会とは、日本の地方公共団体に置かれる議会のことで、市役所の議案と市民の声を代弁する市議員で議論し合う。
【地方自治法】第八十九条 ~ 議会について定義されている。https://t.co/smooBMPZM1 pic.twitter.com/h3t58ADpzi
— ふれあいファイナンス (@fureai_finance) July 4, 2017
船橋市の議会では、1年間に4回の定例会と、必要に応じて臨時会が開催されています。
今は、第2回定例会が始まったばかり。平成29年(2017)は、6月26日(月曜日)に開会し、8月1日(火曜日)まで37日間続きます。
議案とは?
会議で討論・議決するために提出する原案。
議案には大きく分けて、3種類(議案、発議案、請願・陳情)あり、それぞれ「誰が」提出するのかが異なります。
議案
市役所側(市長)の提出する議案のこと。発議案
議会(市議員)が提出する議案のこと。請願
市議員の紹介つきの市民の要望のこと。委員会で審査後、審査通過した要望は、本議会で取り上げられる。陳情
市議員の紹介なしの市民の要望のこと。本会議や委員会での審査は行わない。参考:http://www.city.izumisano.lg.jp/shigikai/seigan_tinjou/seigan_tinjou.html
一般的に、第1回の定例会(通常、2~3月ごろ開催)が、もっとも議案の数が多く、第2回定例会になると議案の数は大幅に減ります。
平成28年
第1回 定例会
議案 :63案
発議案(議員提出議案):8案第2回 定例会
議案 :8案
発議案(議員提出議案):11案第3回 定例会
議案 :15案
発議案(議員提出議案):12案第4回 定例会
議案 :20案
発議案(議員提出議案):11案
議長の役割とは?
会議の運営を統括する役職。
本会議場での議事・進行など議会運営に関しては、絶対的存在で、ヤジを飛ばす人に対して「静粛に!」と言ったり、本会議場に侵入している不審者などを追い返すなどをする。
議会に関するあらゆる情報は、すべて議長のもとに最も速く集まる。
好奇心旺盛で情報を調べたり、考えたりするのが好きな人には向いている役職かもしれません。
【議長の役割】条例の制定又は改廃の議決があつたときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付するhttps://t.co/40cCfiwKEC pic.twitter.com/6CuLsPHyXr
— ふれあいファイナンス (@fureai_finance) July 6, 2017
議長になるメリットは?
実益としては、報酬アップと公用車がつくことが挙げられます。
船橋市の場合、議長になると市議員に比べて約10万円月給がアップするそう。
さらに、公用車が毎日お出迎えしてくれます。もちろん公用車なので、基本的には自宅と市役所の往復のみ。たま~に、他都道府県への視察などに使うくらい。
そして、市長と行動を共にすることも多く、全国の要人に会う機会なども増えるそうです。
後部座席に乗って、市長とともに、要人に会って・・・って何だかエラくなった気分を味わえそうですね 笑
他にも、議長自身の諮問機関を作れる権限が付与されます。
諮問機関
議会改革を進めるための、特化した、専門的に調査したり研究する議員チームを議長の諮問機関と言う名目で作れる。
現在の議長制度のココがおかしい!
こんなにお得感のある議長ですが、客観的に俯瞰してみると、理不尽で納得いかない点があります。
議長は1年交代
それは、議長は1年ごとに交代するという慣習。
地方自治法には以下のように議長の任期=議員の任期=4年と定義されています。
【地方自治法 第百三条 】議長及び副議長の任期は、議員の任期による。https://t.co/XIq4fazniI pic.twitter.com/9M3isJ5ZnR
— ふれあいファイナンス (@fureai_finance) July 5, 2017
にもかかわらず、毎年1年ごとに議長が交代していくというのです。
通常、船橋市においては議長になる暗黙知として、
当選して4~5期目の中堅の市議員が議長になる
という風習があります。
ほとんどのケースで、議長を目指す議員たちは、4~5期目に議長になるのを見据えて、いろんな人とネゴ(交渉)し合い、虎視眈々と議長に近づくのが定石らしいですね。
ちなみに、今期、平成29年度に船橋市議会の議長となったすずき和美議長も、25歳で当選しての5期目です。
議長の辞任理由は自己都合
通常、議長が辞める場合は、議会の許可を得て辞職することとされています。
【地方自治法 第百八条 】 普通地方公共団体の議会の議長及び副議長は、議会の許可を得て辞職することができる。但し、副議長は、議会の閉会中においては、議長の許可を得て辞職することができる。https://t.co/Ws7oPzwlfx pic.twitter.com/yFBTmqWSen
— ふれあいファイナンス (@fureai_finance) July 5, 2017
毎年辞職する船橋市議会の議長ですが、その辞職理由は理由にならない理由、つまり「一身上の都合により」などあくまで個人的な理由とされているそうです。
暗黙の了解での1年交代という議長職の慣習。建前だけの辞職理由が通る「議会の日常」は何だか違和感を感じますね。
議長を2期以上続けたらどうなる?
慣習により、1年ごとに交代する船橋市議会の議長職。
もし慣習を破って、2年以上議長を続けたらどうなるのでしょうか?
結論は、2年以上議長をやれないことはないですが、慣習を破ると相当な圧力がかかるそうです。
通常、「議長は1年交代」という暗黙の了解を前提に、市議員たちは行動しているため、慣習を破って2年連続議長職を務めるものが出てくると、困る議員さんが出てくるのです。
このような場合、2年連続議長職をイジめてやめさせようとすることができます。
具体的には、議長の議会運営の妨害。
例えば、市議会開催中に、議長が発言するたびに、議長に恨みをもつ議員たちが上げ足をとるのです。
「異議あり!今の議長の発言は、地方自治法xxx条に反しているのではないか!?」
と言って、事あるごとに言いがかりをつけ、議会運営の妨害をし、議長を辞職に追い込もうとするのです。
過去に船橋では、平成25年、26年と2年連続で議長を務めた 長谷川まさる(現在も現役議員)という方がいました。
この方が、議長を2年連続やった時も、妨害はすごかったらしいですが、長谷川さんは地方自治法を熟知していたため、どんなヤジが飛んできても冷静に処理して、妨害に屈しなかったみたいです。
▼長谷川まさる議員の船橋市市役所の会議場レポート
マイクが「にんじん」ですね 笑
立候補や所信表明などもない
議長は、現職の議員から選ばれるのですが、立候補制などではなく、所信表明の機会すらありません。
形式ばかりの選挙が行われて、根回しを着実に進めてきた、5期目程度の議長適齢期とされる中堅議員が選ばれるのです。
議長全員がとは言いませんが、議長選出時に、議員数が50人の場合、多数派の公明党が10数票分をたった1人の議員に投票を集中させると、難なく議長になれてしまう仕組みなのです。
しかも本会議ではないので、議事録等の公文書等に記録は残りません。
議長が1年交代
↓
次は○○議員を議長にしよう
↓
水面下で根回しや組織票の準備
↓
形式だけの議長選挙
↓
議長任命
というように闇から闇のうちに、議長選出が行われているのが実態だそうです。
議長への投票権は市民にはないため、市民の立場では、この仕組みを受け入れるしかないのが現状です。
まとめ
現在の船橋市議会の議長制度の問題点としては、
・議長は(暗黙の了解で)1年交代
・しかも辞任理由は一身上の都合
・議長を2期以上務めると猛烈な圧力をかけられる
・立候補も所信表明の機会すらなく、形式だけの議長選挙
と主に4点あげられます。公平性や情報開示の観点からいくと、市民の私たちにとって納得いかない点はあるでしょう。
だけど、このような慣習が深く根差しているのが市議会の実態。
今すぐこの仕組みを改善することはできないかもしれませんが、石川りょう議員のように、まずはこの仕組みがおかしい!と声をあげることが第一歩なのではないかと思いました。
自分にはできない!でも他の誰かならできるかも!?
と信じて、はじめの一歩を踏み出すのが大事ですね。何事においても。



